自給自足農園「ゆめぞの」から(池田孝蔵)
「泣くな天助」 [思いで]
投稿日時:2015/03/18(水) 20:57
「泣くな天助」
生涯で10回以上読んだ本はありますか。
わたしは、この「泣くな天助」ただ一冊です。あの「星の王子様」も3回止まりです。
昭和30年「少年画報」1月号の付録であった、山内竜臣作の漫画の読み切り本です。
当時わたしは、小学5年生で、親から買ってもらった初めての雑誌でした。
その少年画報では赤胴鈴之助が大人気で、表紙をめくると、あの、兄弟子の竜巻雷之進との果たし合いで、赤胴鈴之助の一撃で、竜巻雷之進の額から血が滴るのを見て、「竜巻さん、これを」といって、手布を手渡す名シーンが、ページ一杯に描かれており、それを真似てノートに描いたものだった。
赤胴鈴之助にも熱中したが、それ以上に長い間、誰にも言わずに密かに愛読していたのが、付録についていた読み切り漫画本の「泣くな天助」だったのだ。
風邪で学校を休んで寝ていたときには、決まって布団の中で、これを読んでいた。
その後、中学、高校と進むうちに、家の中には雑誌や漫画のたぐいは、ただ一冊この「泣くな天助」を除いては一切なくなっていった。
そして、受験勉強も重くのしかかってくる頃、気分直しに「泣くな天助」を読もうとしたら、どこにも見当たらないのだ。親に見かけなかったかと問うと、それは近所の子供にあげてしまったとのこと。わたしが大切にしていることを伝えていなかったから、しかたないかもしれないが、たかが漫画だから、不要なものとして、処分したとのこと。
どんなに、くやしかったことか、今思い出しても、胸がつまる。
その「泣くな天助」をこの度ネットオークションで見つけて、2500円で落札した。
みなしごだった天助は、ただ剣が強いだけの悪童だったのが、たまたま毒殺された若様とそっくりだったことから、偽若様として、城を我が物にしようとする一味に加わってしまうが、それを知ってか知らずか、妹の姫が、ひたすら気遣ってくれ、人の情けに触れたことがない天助は、とうとう姫を暗殺しようとする一味に猛然と反逆する。
そして最後に実は自分は偽物であり、「姫は何も知らないのだ」と「打ち明けてしまう。
そのとき、姫は「いいえ、みんなしっています」と答える。
男は泣かない、まして剣士は、だけど、、、、。で終わる。
わずか102ページ漫画であるが、内容が深く、濃い。今読んでも少年の様な胸のときめきを覚える。この漫画の作者山内竜臣氏にはもっと活躍してほしかった。
この本と出会ったのが12歳、そして再び出会ったのが、72歳。還暦から数えると12年目というのは、単なる偶然であろうか
生涯で10回以上読んだ本はありますか。
わたしは、この「泣くな天助」ただ一冊です。あの「星の王子様」も3回止まりです。
昭和30年「少年画報」1月号の付録であった、山内竜臣作の漫画の読み切り本です。
当時わたしは、小学5年生で、親から買ってもらった初めての雑誌でした。
その少年画報では赤胴鈴之助が大人気で、表紙をめくると、あの、兄弟子の竜巻雷之進との果たし合いで、赤胴鈴之助の一撃で、竜巻雷之進の額から血が滴るのを見て、「竜巻さん、これを」といって、手布を手渡す名シーンが、ページ一杯に描かれており、それを真似てノートに描いたものだった。
赤胴鈴之助にも熱中したが、それ以上に長い間、誰にも言わずに密かに愛読していたのが、付録についていた読み切り漫画本の「泣くな天助」だったのだ。
風邪で学校を休んで寝ていたときには、決まって布団の中で、これを読んでいた。
その後、中学、高校と進むうちに、家の中には雑誌や漫画のたぐいは、ただ一冊この「泣くな天助」を除いては一切なくなっていった。
そして、受験勉強も重くのしかかってくる頃、気分直しに「泣くな天助」を読もうとしたら、どこにも見当たらないのだ。親に見かけなかったかと問うと、それは近所の子供にあげてしまったとのこと。わたしが大切にしていることを伝えていなかったから、しかたないかもしれないが、たかが漫画だから、不要なものとして、処分したとのこと。
どんなに、くやしかったことか、今思い出しても、胸がつまる。
その「泣くな天助」をこの度ネットオークションで見つけて、2500円で落札した。
みなしごだった天助は、ただ剣が強いだけの悪童だったのが、たまたま毒殺された若様とそっくりだったことから、偽若様として、城を我が物にしようとする一味に加わってしまうが、それを知ってか知らずか、妹の姫が、ひたすら気遣ってくれ、人の情けに触れたことがない天助は、とうとう姫を暗殺しようとする一味に猛然と反逆する。
そして最後に実は自分は偽物であり、「姫は何も知らないのだ」と「打ち明けてしまう。
そのとき、姫は「いいえ、みんなしっています」と答える。
男は泣かない、まして剣士は、だけど、、、、。で終わる。
わずか102ページ漫画であるが、内容が深く、濃い。今読んでも少年の様な胸のときめきを覚える。この漫画の作者山内竜臣氏にはもっと活躍してほしかった。
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